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働く上で必要な「配慮」を考える

                                 

働く上で必要な「配慮」を考える ― 「できない」を「どうすれば働けるか」に変える自己理解プログラム

本日のプログラムでは、自己理解について行いました。就労移行支援事業所リワーク守口(大阪府守口市)での今回のテーマは「働く上で必要な配慮を考える」です。

このテーマでは、自分の障害や特性を理解したうえで、働く際に生じる「困りごと」や自分が必要とする「配慮」を具体的に考え、自分に合った働き方を考えられるようにすることが目的になっています。

この記事では、当日のワークの流れと、参加された利用者さんから出た気づき、そして「合理的配慮」の考え方についてご紹介します。

  苦手なことがあっても働ける ― まずは「工夫」から

人にはそれぞれ、得意なことや苦手なことがあると思います。働く上では、苦手なことがあっても、どのように工夫しながら取り組んでいくかを考えることや、実際に自分なりに工夫しながら取り組んでいくことが大切になると考えました。

たとえば、忘れやすいならメモを取る、優先順位が分からなくなるなら手順書をつくる、疲れやすいなら休憩の取り方を決めておく。こうした自分でできる工夫を「セルフサポート」と呼ぶこともあります。まずはここから考えていきます。

しかし、どれだけ工夫しても、自分一人では対処しきれないこともあります。そうしたときには、無理をして抱え込むのではなく、周囲に配慮をお願いするのも一つの方法です。抱え込んで体調を崩してしまうより、早めに相談するほうが、結果として長く働き続けられます。

  「苦手です」だけでは伝わらない ― 伝わる伝え方とは

ですが、ただ「これは苦手です」「できません」と伝えるだけでは、相手にとっては、なぜ難しいのか、どのような配慮が必要なのかが分かりにくいことがあります。伝えた側は勇気を出して伝えたのに、相手はどう動けばいいか分からない。これは、とてももったいない状態です。

■ 例:「複数の指示を受けることが苦手」の場合

「複数の指示を受けることが苦手です」と伝えるだけではなく、「複数の指示を同時に受けると優先順位を整理することが難しいため、優先順位を教えてもらえると、一つずつ取り組みやすくなります」と具体的に伝えることで、相手にも状況を理解してもらいやすくなります。

同じ内容でも、後者には「相手が何をすればよいか」が入っています。配慮をお願いするときは、困りごとの説明で終わらず、お願いしたい行動まで言葉にすることがポイントです。

■ 整理して伝えたい4つの要素

このように、「なぜ苦手なのか」「どのような場面で困るのか」「自分ではどのような工夫をしているのか」「どのような配慮があると取り組みやすいのか」まで整理して伝えることが大切になります。

とくに3つ目の「自分でしている工夫」を添えると、伝わり方が大きく変わります。丸ごとお願いするのではなく、自分でもここまでやったうえで、この部分を助けてほしい。そう伝えられると、相手も協力しやすくなります。

  具体的に伝えるために必要なのは「自己理解」

では、自分に必要な配慮を具体的に伝えるためには何が必要なのでしょうか?そこで重要になるのが「自己理解」です。

自分の障害や特性について知ることはもちろん、実際にどのような場面で困るのか、仕事をする上でどのような影響があるのかを考える必要があります。「自分は不注意が出やすい」と知っているだけでは、配慮の相談にはつながりません。「電話を受けながらメモを取る場面で抜けが出やすい」というところまで具体化して、はじめて相手に伝わる言葉になります。

今回のプログラムでは、自分が現在理解している障害や特性について振り返り、そこから仕事上の困りごとや、自分でできる工夫について考える個人ワークを行いました。

  個人ワーク① 自分の特性を振り返る

個人ワークを通して、利用者の皆さまからさまざまな意見が出ました。

ワークを行う前は、「自分の障害や特性についてある程度分かっている」という意見がありましたが、実際にワークを通じて振り返ってみると、「自分がどのような場面で困りやすいかまでは、あまり考えたことがなかった」という気づきがありました。

さらには、「自分の特性について改めて振り返ることができ、再認識するいい機会になった」「普段あまり意識していなかった自分の特性を、改めて確認することができた」など、働く上で必要なことを考えるいい機会になったという意見が多く出ました。

「知っている」と「言葉にできる」の間には、思っている以上に距離があります。ワークの価値は、まさにこの距離を埋めるところにあります。

  個人ワーク② 働く上で困る項目にチェックしてみる

さらに、働く上で困る項目にチェックしてみるワークを行いました。

このワークでは、「思っているより困ることが多かった」「仕事になると、普段とは違う困りごとが出てきそう」など、「実際に働くと困りそう」という意見や、「普段の生活では気にならないことでも、仕事になると困るかもしれないと思った」「今まで仕事で困ることについて深く考えたことがなかった」など、「自分では気づいていなかった」という意見も出ました。

チェック形式にしているのには理由があります。白紙に「困りごとを書いてください」と言われても、なかなか思い出せないものです。項目が並んでいると、「あ、これもそうかも」と自分の中の記憶が引き出されます。思い出す作業より、選ぶ作業のほうがずっとやさしいのです。

  2つのワークを通して見えてきたこと

この二つのワークを通して、「自分の特性が仕事ではこういう形で出るのだと分かった」「障害についてだけでなく、仕事への影響まで考える必要があると思った」「就職する前に、自分が困りそうなことを考えておくのは大切だと思った」など、自分の特性が実際に働く場面でどのように影響するのか考えられたという意見が出ました。

私たちがこのプログラムで大切にしているのは、「自分は何が苦手なのか」だけでなく、「どうすれば取り組みやすくなるのか」という視点を持つことです。苦手の一覧をつくることがゴールではありません。その隣に「工夫」と「配慮」の欄をつくることが目的です。

  「合理的配慮」とは ― 特別扱いではなく、力を発揮するための工夫

また、働く上での「合理的配慮」についても学びました。

例えば、複数の指示を受けると混乱しやすい場合には、作業内容をまとめた資料やToDoリストを活用したり、優先順位を伝えてもらったりすることで、仕事に取り組みやすくなる場合があります。ほかにも、指示を口頭ではなく文字でもらう、静かな席に配置してもらう、通院のための時間を調整してもらう、といった例があります。

このような配慮は、仕事をしなくても良いようにするものではなく、本人が仕事に取り組み、自分の力を発揮しやすくするための工夫の一つです。ここはとても大切なところなので、プログラムでも繰り返しお伝えしています。

なお、合理的配慮の提供は、障害者雇用促進法により事業主の義務とされており、あわせて障害者差別解消法の改正によって、2024年4月からは民間の事業者にも提供が義務づけられました。配慮を求めることは、わがままでも特別扱いでもなく、法律に位置づけられた仕組みです。

■ 「障害名」からではなく「困りごと」から考える

ただ、必要な配慮は人によって異なります。同じ障害や特性があっても、困る場面や働きやすい環境はそれぞれ違います。

そのため、「障害名から配慮を決める」のではなく、「自分自身の困りごとから必要な配慮を考えること」が重要になります。診断名は説明の入り口にはなりますが、答えそのものではありません。自分の言葉で困りごとを説明できることのほうが、ずっと役に立ちます。

■ 配慮は「お願いして終わり」ではない

配慮は、一度伝えたら完成というものではありません。実際に働いてみると、「これは思ったより大丈夫だった」「むしろこちらのほうが困る」ということが出てきます。

働きながら、職場と一緒に調整していくもの。そう考えておくと、最初から完璧な答えを用意しなければ、というプレッシャーも少し軽くなります。

  こんな方におすすめのプログラムです

このプログラムは、次のような方におすすめの内容になっています。

  自分の特性について改めて整理したい方

  「苦手だからできない」と考えてしまう方

  オープン就労を考えている方

  就職前に自分のことを整理しておきたい方

苦手なことをただ「できない」と捉えるのではなく、「どのような工夫や配慮があれば、自分の力を発揮できるのか」という視点から考えることができます。「自分には仕事は難しいかもしれない」「苦手なことが多く、働くことは無理なのではないか」と感じている人にこそ、ぜひ受けていただきたい内容です。

  よくあるご質問(FAQ)

Q1合理的配慮とは何ですか?
A障害のある方が働くうえでの困りごとを取り除き、力を発揮しやすくするための調整や工夫のことです。仕事を免除するものではありません。障害者雇用促進法により事業主に提供義務があり、障害者差別解消法の改正で2024年4月から民間事業者にも義務づけられました。
Q2配慮はどのように伝えればよいですか?
A「なぜ苦手なのか」「どのような場面で困るのか」「自分ではどのような工夫をしているのか」「どのような配慮があると取り組みやすいのか」の4つを整理して伝えると、相手にも状況が伝わりやすくなります。
Q3クローズ就労でも役に立ちますか?
A役に立ちます。配慮を求めるかどうかにかかわらず、自分の困りごとと工夫を把握しておくことは、仕事の進め方そのものを楽にします。オープン・クローズのどちらを選ぶかを考える材料にもなります。
Q4自分の特性がよく分からなくても参加できますか?
Aできます。むしろ、「よく分からない」という状態から整理していくためのプログラムです。チェック形式のワークもあり、思い出しにくい困りごとも見つけやすくしています。
Q5見学や体験はできますか?
A見学・体験ともに受け付けています。実際のワークの内容を見ていただくのがいちばん分かりやすいので、ぜひ一度お越しください。

  まとめ ―「自分には無理」と決めつける前に

苦手なことがあると、「自分にはできない」と考えてしまうことがあります。しかし、苦手なことがあることと、仕事ができないとは必ずしも同じではありません。

大切なのは、「何が苦手なのか」を知るだけではなく、「なぜ苦手なのか」「どのような工夫ができるのか」「どのような配慮があれば取り組めるのか」を考えることです。

「自分には無理」と感じているところから、自分にできることや必要なサポートを一緒に考え、これからの働き方を考えていくためのプログラムです。

「自分には無理」と決めつける前に、「どうすれば働けるか」を一緒に考えてみませんか?就職に向けて一歩踏み出したい方は、ぜひお気軽にご参加ください。見学・体験のご相談もお待ちしております。

お問い合わせ・見学のご案内
就労移行支援事業所 リワーク守口(一般社団法人どんぐりの会) 所在地:大阪府守口市金下町2-2-12 サクセス金下2F アクセス:大阪メトロ谷町線「守口」駅3番出口から徒歩約3分/京阪本線「守口市」駅東改札口3番出口から徒歩約3分 電話:06-6992-0001(受付時間 平日10:00~18:00)/本部フリーダイヤル:0120-154-615 ホームページ:https://donguri-work.jp/

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※本記事は、就労移行支援事業所リワーク守口で実施した自己理解プログラムの内容をもとに、支援スタッフが作成しています。合理的配慮に関する記述は一般的な情報であり、個別の事情によって適用や内容は異なります。制度の詳細は厚生労働省等の公的な情報をご確認いただくか、当事業所までご相談ください。