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目標は、あとから増えていく ―「一つ決めるのが精一杯」から動画編集で就職を目指すまで

就労移行支援事業所リワーク守口(大阪府守口市)では、毎月の個別目標にもとづくカウンセリングを行っています。今回は、その「目標設定の時間」から生まれた、ある利用者さんの歩みをご紹介します。

最近サービスを開始された利用者のSさん。こちらの方は、開始されたばかりの時は目標を一つ決めるのが精一杯でした。

それが今では、資格取得に加えて、就職を目指して動画編集のスキルを磨かれています。何が起きたのか、順を追ってお伝えします。

  就労移行支援における「目標設定の時間」とは

リワーク守口では、毎月の個別目標作成にもとづくカウンセリングを実施しています。担当のスタッフと一緒に、「今月は何に取り組むか」「前の月はどうだったか」を振り返る時間です。

ここで大切にしているのは、立派な目標を掲げることではありません。むしろ、その方が今の状態で無理なく手を伸ばせる範囲に、目標のサイズを合わせることを意識しています。

目標が大きすぎると、達成できない経験だけが積み重なってしまいます。反対に、小さくても届く目標を重ねていくと、「できた」という記憶が残り、次の一歩が出しやすくなります。就労移行支援における目標設定は、達成そのものより、この積み重ねをつくることに意味があります。

  はじめは「目標を一つ決めるのが精一杯」だった

Sさんが通所を始められた頃は、目標を一つ決めるのが精一杯でした。

これは決して珍しいことではありません。通所を始めたばかりの時期は、生活リズムを整えること、新しい環境に慣れること、初めて会う人たちと同じ空間で過ごすこと――それだけで一日のエネルギーを使い切ってしまいます。その状態で「将来どうなりたいですか」と聞かれても、言葉が出てこないのは自然なことです。

ですから私たちは、目標が一つしか出てこなくても、それでよいと考えています。「たくさん書けないこと」を課題として扱うことはありません。まずは通い続けられること。その土台があってはじめて、次のことを考える余裕が生まれます。

■ なぜ、最初は目標が立てにくいのか

目標が立てにくい理由はいくつかあります。一つは、選択肢を知らないこと。世の中にどんな仕事があり、どんなスキルが必要なのかを知らなければ、目標の立てようがありません。

もう一つは、余裕がないことです。目の前のことで精一杯のとき、人は先のことを考えられません。これは意欲の問題ではなく、単純に容量の問題です。

だからこそ、支援側がやるべきことは「もっと目標を持ちましょう」と促すことではなく、余裕が生まれるまで待ち、その間に選択肢に触れられる機会を用意しておくことだと考えています。

  講座がきっかけで、動画編集に興味を持たれた

Sさんは、資格取得を目標に通所を続けておられました。その講座に取り組んでいる間に、動画編集に興味を持たれた様子でした。

ここで強調しておきたいのは、私たちからのアドバイスはなかったということです。「動画編集をやってみては」と勧めたわけではありません。ご自身で興味を持ち、ご自身で動画編集に取り組み、作品を作られていました。

興味というのは、外から植えつけられるものではなく、内側から出てくるものです。私たちにできるのは、その芽が出やすい環境を用意しておくことだけなのだと、あらためて感じさせられました。

■ 「目標のとなり」で出会うものがある

面白いのは、動画編集がもともとの目標ではなかったという点です。資格取得という目標に向かって進んでいるうちに、その道の途中で別の興味に出会われた。目標は、まっすぐ一本道を歩くためだけのものではなく、歩き出すことで景色を増やしてくれるものでもあるのだと思います。

「やりたいことが分からない」という方は少なくありません。でも、やりたいことは机の上で考えて見つかるとは限りません。何かを始めてみて、その途中でふと見つかることのほうが多いのではないでしょうか。

  ご自身で動画を作成されるまでに

興味を持たれてからのSさんの進み方は、とても早いものでした。ご自身での動画を作成されるまでに進められるようになりました。

動画編集は、覚えることの多い作業です。素材を集め、必要な部分を切り出し、順番を組み立て、字幕や音を乗せて、書き出す。一つひとつの操作は難しくなくても、最後まで通すには集中力と段取りが必要になります。

それを自力で完走されたということは、単に操作を覚えたということ以上の意味があります。「最後まで作りきれた」という経験そのものが、大きな自信になっているはずです。

最近は資格取得に加えて、就職を目指して動画編集のスキルを磨かれてらっしゃいます。目標は、いつのまにか一つから二つに増えていました。

  担当スタッフとして感じていること

目標もでき、余裕が出てきたのか、最近は笑顔も出てきており、この調子で頑張って欲しいと思っています。

表情の変化は、支援をしていていちばん嬉しい瞬間かもしれません。数値では測れませんが、その方の中で何かが動いたことは、確かに伝わってきます。

そして、この変化を作ったのはSさんご自身です。私たちがしたのは、講座を用意し、目標を一緒に確認し、進み方を見守っていただけ。主役はいつも、ご本人です。

  私たちが目標設定で大切にしている4つのこと

Sさんの歩みは、私たちが目標設定で大切にしていることを、そのまま形にしてくださったようなケースでした。あらためて整理してみます。

■ ① 目標を押しつけない

スタッフが良かれと思って決めた目標は、多くの場合続きません。続くのは、ご自身の中から出てきた目標だけです。ですから私たちは、提案はしても、決めるのはご本人という線を守るようにしています。

■ ② 小さく始める(スモールステップ)

最初の目標は、「一つだけ」でも「小さすぎるかな」と思う内容でも構いません。達成できるサイズにすることのほうが、内容の立派さよりずっと大切です。小さな達成の積み重ねが、次の目標を立てる力になります。

■ ③ 興味が出てきたら、そちらを追いかけてよい

当初の目標と違う方向に興味が向いたとき、それは寄り道ではありません。むしろ大切なサインです。「せっかく決めたのだから」と縛るより、その興味を伸ばすほうが、結果的に就職につながることが多くあります。

■ ④ 目標は、いつでも見直してよい

毎月の面談で目標を確認しているのは、進捗を管理するためではなく、変えていいことを確認するためでもあります。状況が変われば、目標が変わるのは当たり前。増やしても、減らしても、書き換えても構いません。

  動画編集は、就職にどうつながるのか

Sさんが今、就職を目指して磨いておられる動画編集。趣味の延長のように思われることもありますが、仕事としてのニーズは年々広がっています。

企業の採用ページ、商品紹介、社内研修用のマニュアル、SNS向けの短い動画。かつては専門の制作会社に頼むものでしたが、今は一般の企業が自社で作る場面が増えました。そのぶん、「基本的な編集ができる人」を必要とする職場も増えています。

また、動画編集は在宅やパートタイムなど、働き方の選択肢が比較的広い分野でもあります。体調に合わせて働き方を調整したい方にとって、選べる幅があることは大きな意味を持ちます。

そして何より、動画編集で身につく力は編集ソフトの操作だけではありません。素材を整理する力、順序を組み立てる力、締め切りまでに仕上げる力。これらはどんな仕事でも役に立つ、汎用性の高いスキルです。

  リワーク守口で学べるスキル

Sさんが動画編集に出会えたのは、事業所の中に「触れられる機会」があったからです。リワーク守口では、次のようなスキルを学ぶことができます。

  オフィスワーク(Word・Excel など)

  デザイン(Illustrator・Photoshop)

  プログラミング(HTML・CSS・PHP・Java)

  動画編集

このほか、ビジネスマナー講習、コミュニケーション訓練、ソーシャルスキル訓練、ストレスマネジメント、自己理解プログラム、面接練習などのプログラムを実施しています。事業所内にはフィットネスジムを併設し、週2回の運動プログラムで「こころ」と「からだ」の両面を整えていきます。

大切なのは、最初からどれをやるか決めておく必要はないということです。触れてみて、面白いと思ったものを深めていけばいい。Sさんのように、思いがけない出会いが待っているかもしれません。

  よくあるご質問(FAQ)

Q1やりたいことが決まっていなくても利用できますか?
Aもちろんご利用いただけます。むしろ「決まっていない」状態から始まる方が大半です。さまざまな講座やプログラムに触れながら、興味のある方向を一緒に探していきます。
Q2目標はどのように決めますか?
A毎月の個別カウンセリングで、担当スタッフと一緒に確認していきます。スタッフが決めるのではなく、ご本人が決めるものです。最初は一つだけ、小さな目標からで構いません。
Q3途中で目標が変わっても大丈夫ですか?
A大丈夫です。むしろ、興味が広がった結果として目標が変わるのは前向きな変化です。毎月の面談は、目標を見直すための時間でもあります。
Q4動画編集は未経験でも学べますか?
A未経験から始められる方がほとんどです。基本の操作から順に進め、最終的にご自身で一本の作品を作り上げるところまで取り組んでいただけます。
Q5見学や体験はできますか?
A見学・体験ともに受け付けています。どんな講座があるのか、どんな雰囲気なのかを実際に見ていただくのがいちばん分かりやすいので、ぜひ一度お越しください。

  まとめ ― 最初の一つが、次を連れてくる

目標を一つ決めるのが精一杯だった方が、資格取得に取り組むうちに動画編集と出会い、自分で作品を作り、就職に向けてスキルを磨いている。この歩みが教えてくれるのは、目標は最初に完成させるものではなく、進みながら増えていくものだということです。

「やりたいことが分からない」「目標が立てられない」と感じている方も、まったく問題ありません。まずは一つ、小さなところから始めてみる。その先で何に出会うかは、始めてみないと分からないのですから。

「自分に合う仕事を見つけたい」「新しいスキルを身につけたい」「まずは通うことから始めたい」――そんな方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。見学・体験のご相談もお待ちしております。

お問い合わせ・見学のご案内
就労移行支援事業所 リワーク守口(一般社団法人どんぐりの会) 所在地:大阪府守口市金下町2-2-12 サクセス金下2F アクセス:大阪メトロ谷町線「守口」駅3番出口から徒歩約3分/京阪本線「守口市」駅東改札口3番出口から徒歩約3分 電話:06-6992-0001(受付時間 平日10:00~18:00)/本部フリーダイヤル:0120-154-615 ホームページ:https://donguri-work.jp/

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