障害年金の障害等級には1級、2級、3級、障害手当金があります。障害等級を決める基準として、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」9)というものがあります。以下の表はこの障害認定基準より「精神の障害」について抜粋したものです。
令 別 表 | 障害の程度 | 障 害 の 状 態 | |
国 年 令 別 表 | 1 級 | 精神の障害であって、前各号※と同程度以上と認められる程度のもの | |
2 級 | 精神の障害であって、前各号※と同程度以上と認められる程度のもの | ||
厚 年 令 | 別表第1 | 3 級 | 精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの | |||
別表第2 | 障害手当金 | 精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
※前各号・・・身体障害の状態の各号
補足説明しますと、1級は他人の介助を受けなければほとんど自分の身の回りのことができない状態です。例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない。病院内の生活でいえば、活動範囲がおおむねベッド周辺に限られる。家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られる状態です。
2級は必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働で収入を得ることができない状態です。例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできますが、それ以上の活動はできない。病院内の生活でいえば、活動範囲がおおむね病棟内に限られる。家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られる状態です。
3級は日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が該当します。仕事には就いているが短時間しか働けない、仕事内容に制限があるなどです。
障害手当金は障害の状態が3級と似ていますが、「傷病が治ったもの」で労働に制限があるような障害が残ったという状況です。「傷病が治ったもの」とは、その症状が安定しこれ以上治療を続けても効果が期待できない場合が含まれます。
この表では障害の状態がかなり簡略化されていますが、障害認定基準の「2 認定要領」以降で障害の種類ごとに認定基準を判断する障害の状態がくわしく記されています。
例として発達障害の認定基準を見ていきましょう。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの |
2級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不 適応な行動が見られるため、日常生活への適応にあたって援助が必要な もの |
3級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、 社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの |
このほか障害等級の基準として、診断書を作成する医師に向けて「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」10)というものがあります。
障害年金の等級認定は、医師の診断書に左右される部分が大きいと言えます。障害年金の申請において、障害で自分が困っている状況をいかに上手にかかりつけの医師に伝えられるかどうかが肝となります。診断書には経過も含めて記載されるので、病院に定期的に通院して診察を受けることが、障害年金の申請準備として重要です。
9)1 認定基準.第8節 精神の障害.【令和4年4月1日改正版】国民年金・厚生年金保険 障害認定基準.日本年金機構.https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/3-1-8.pdf.p56.
10)国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン 平成28年9月.日本年金機構.https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20160715.files/A.pdf
精神疾患で障害年金はもらえる? 目次
精神疾患で障害年金はもらえる? 障害年金には種類がある(障害基礎年金) 障害年金には種類がある(障害厚生年金) 障害年金でもらえる金額はどれくらい? 障害年金の障害等級はどのように決められるのか?