2023/07/04
こんにちは!
どんぐりの会です🌰
前回に引き続き「ビジョントレーニング」のお話です。
前回の話はこちら
ビジョントレーニングとは
「見る」機能を高める練習全般の事を言います。簡単に言うと「視覚機能を鍛える訓練」です👀
眼球を動かす筋肉『眼筋』を鍛えることで、両眼の動きを改善させて目標物を正確に捉えたり、目からの情報を『脳』で処理して体を動かす運動機能を向上させる効果があると言われています。
文字を書いたり音読したりするのが苦手、漢字をなかなか覚えられないといった学習障害(LD)について「見る力」を高めることで、障害の特性を緩和できるのではというアプローチがあります。
では、ビジョントレーニングではどのような「見る力」がつくのでしょうか。
ビジョントレーニングで鍛えられる視覚機能とは?
ビジョントレーニングでは目を鍛えることで脳の情報処理を円滑にすることができます。
ビジョントレーニングで鍛えられる視覚機能には、主に「眼球運動」、「視空間認知」、「目と体の協応」の3種類があります。
①眼球運動
眼球をすばやく正確に動かす能力で、筋肉で目を動かしピントを合わせる力です。
眼球運動には、対象物を目で追っていく力(追従性眼球運動)、対象から離れている対象へ一瞬でジャンプして見る力(跳躍性眼球運動)、両眼を1つのまとまりとして使用することによって得られる視覚(両眼視機能)の3つがあります。
・追従性眼球運動は、頭を動かさずに対象を目で追いかける運動です。例えば、ボールの動きを目で追う、文字の書き順を覚えるなどです。目を動かす筋肉が衰えると、この眼球運動の機能は低下します。
・跳躍性眼球運動は、いろんなものがある中から指定されたものを素早く見つけるといった、ある1点から別の1点へ視線をジャンプさせる眼球運動です。早く正確に自分が必要な情報を視覚で得るためにはこの跳躍性眼球運動が必要です。
・両眼視機能は両目で見たものを脳内で一つにまとめて得られる視覚です。この機能があることで、対象を立体的に見ることができます。この機能は9歳前後に完成するといわれ、9歳を過ぎると治療で改善することが難しくなります。
②視空間認知
対象となる物の色や形状、場所などを把握する力です。
物を認識する場合、目で見た情報は脳に入り、脳で処理され映像となります。
脳で距離感や奥行きが把握され、これは文字や形を認識するときも同様です。
この視空間認知の力が低下していると、うまく図を描くことができない、文字をまねて書くことが難しいなどの問題があらわれます。
③目と体の協応
目で見た情報を脳で判断して体を動かす力です。
この力が弱いと、キャッチボールではボールが来る方向に手が出ないのでボールが取ることができないということが起きます。
実際に視力が優れている人は支障なく球技をこなせる場合が多く、視力に問題がある人では、球技が苦手という傾向があるようです。
スポーツと視覚の関係を説明するために、例として野球のフライを取る場面で、どの視覚機能が働いているのかを見てみましょう。
バッターが打ったボールが飛ぶのを目で追う
→①眼球運動
飛んでいくボールを見て落下地点を予測する
→②視空間認知
落下地点に移動してボールをキャッチする
→③目と体の協応
このように力を使い分けています。
発達障害でみられる視覚機能の低下
近年、発達障害の子どもを支援する現場においてビジョントレーニングが注目されはじめています。
発達障害を抱えている子どもで視覚機能が低下しているケースが多い*4 ため、ビジョントレーニングによって学習への支障や運動での問題を改善しようという試みが始められています。
発達障害の人が視覚機能に支障があるケースが多いというのは、
「発達障害は生まれつき脳の働き方に違いがあるので、目から入力された情報を処理する機能に支障があるのでは」
という説や
「感覚過敏のため日光が苦手で、外に出るのがおっくうになる。」
→「発達段階に十分に体を動かす機会が得られず体幹の力が十分に鍛えられなかった」
→「体幹が弱いので姿勢が悪くなる」
→「体のひねりが少なくなり、目線が安定しないため視機能も低下」
という二次的な要因の結果で視覚機能が低下している、などさまざまな説があります。
発達障害の5〜8割の子どもに視覚機能になんらかの問題があるということから、特別支援学級などでビジョントレーニングを行うのは有意義な試みです。
*4 後藤多可志ほか.発達性読み書き障害児における視機能、視知覚および視覚認知機能について.音声言語医学.51(1),2010,38-53.
続きは次のブログで
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